羊の頭

SFと日記と。できるだけ無意味に書きます。

2015-04-02から1日間の記事一覧

シオドア・スタージョン『海を失った男』(河出文庫)

2015/03/25 日々の中にも、タナトスの囁きに満ちた一瞬がある。 流しでグラスを洗っている。洗剤のぬめりを感じながら、グラスを落としてしまうことを考える。たとえステンレスの流しであっても、この高さなら割れるかどうかは五分五分だろう。では、もっと…

山尾悠子『増補 夢の遠近法 初期作品選』(ちくま文庫)

2015/03/18 実家に帰ってきた。しかし、自分の様な人間がこれから社会人になっていく友人たちには会わせる顔がないような、そんな気がして、昼から家でビール片手に本を読み、気づいたら夜中である。そんな日がもう三日も続いている。 山尾悠子の作品はこわ…

シオドア・スタージョン『不思議のひと触れ』(河出文庫)

2015/03/13 スタージョンという作家の特徴をよく反映した作品が二作収められている。 ひとつは「雷と薔薇」。スタージョンの、引き算の幻想作家としての特徴が生きている作品。幻想作家でも、マコーマックや京極夏彦のように絢爛で強固な幻想を打ち立てる(ど…

アンナ・カヴァン 『氷』(バジリコ)

2015/03/01 何ら持病を持たない私たちが痙攣を得るためには、そこに装置が無くてはならない。 痙攣的なギターソロを吐き出し続けたゆらゆら帝国時代の坂本慎太郎にとって、それはおそらくファズであり、全編に渡って痙攣的な想像力が支配するカヴァンの『氷…