羊の頭

SFと日記と。できるだけ無意味に書きます。

2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧

レイ・ブラッドベリ『火星年代記(新装版)』(ハヤカワ文庫)

つい最近、別れ話を切り出した夜に吹いた口笛は事の他大きく響いた。昼下がり雨の止んだ一瞬に目の前を横切った黒い蝶は何か暴力性を帯びていた。状況はその時々について異なる性質の時間を有しているのは勿論、その時間を通じて感覚を揺らがせる。『今夜の…

笙野頼子『笙野頼子三冠小説集』(河出文庫)

ワタシハミジメデアリタイ私たちを捕らえて離すことのない、これはもう、欲望である。勿論、無条件でそうなりたい訳ではない。私たちが私たちの世界において、私たちの許す範疇においてである。甘えではない自己憐憫でもない、繰り返そう、これは欲望である…